(航空事故調査報告書 2002-5、第4章から)
本事故は、次の事により発生したものと推定される。
東京航空交通管制部は、左旋回をしながら上昇中のA機と巡航中であったB機との異常接近を示すCNF(異常接近警報)が作動した際に、
A機とB機のコールサインを取り違い、A機のコールサインを発したため、上昇中のA機が降下を開始し、その直後、
A機の空中衝突防止装置(TCAS)において、上昇を指示するRA(Resolution Advisory)が作動したが、A機は、管制官の降下指示を継続した。
A機とRAに従って降下したB機とは、互い目視しながらも異常な接近の状態となり、最接近の直前に双方が目視による回避操作を行い、
その際A機は、B機の火砲をかいくぐり、急降下を行いその後急上昇し空中衝突を避けた。
A機が急降下した際、乗客及び客室乗務員が不要落下し、9名が重傷、91名が負傷した。
(鉄道事故調査報告書 RA2007-3-1、第4章から)
本事故は、本件運転士のブレーキ使用が遅れたため、本件列車が半径304mの右曲線に制限速度70㎞/h を大幅に超える約116㎞/h で進入し、
1両目が左へ転倒するように脱線し、続いて2両目から5両目が脱線したことによるものと推定される。
本件運転士のブレーキ使用が遅れたことについては、虚偽報告を求める車内電話を切られたと思い本件車掌と輸送指令員との交信に特段の注意を払っていたこと、
日勤教育を受けさせられることを懸念するなどして言い訳等を考えていたこと等から、注意が運転からそれたことによるものと考えられる。
本件運転士が虚偽報告を求める車内電話をかけたこと及び注意が運転からそれたことについては、インシデント等を発生させた運転士にペナルティであると受け取られることのある日勤教育又は、
懲戒処分等を行い、その報告を怠り又は虚偽報告を行った運転士にはより厳しい日勤教育又は懲戒処分等を行うという同社の運転士管理方法が関与した可能性が考えられる。
(注;運転士が伊丹駅で72メートルオーバーランしたことに対し、このオーバーランの距離を、短くオーバーランしたように指令に報告してくれないか、と運転士が車掌に車内電話で依頼していた。)
報告書の中では、組織という言葉は使用されていないが、日勤教育とか処罰社会というのは、まさに組織のありかたということになる。
事故の直接のきっかけはオペレーターや運転士であっても、なぜ発生したかの背後要因をつめていくと、組織の在り方にたどり着くことが多い。
福知山線事故の場合は、組織の在り方に問題があったがゆえに、運転士はルール違反を報告しなかったり、虚偽の報告を車掌に求めたりしているものと推測する。
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